お子さんの歯並びを見て、「乳歯だからいずれ生え変わるし、気にしなくても大丈夫だろう」と思ったことはありませんか?
実はこの「乳歯だから大丈夫」という考えは、将来的な永久歯の歯並びやお口全体の健康に影響を及ぼすことがあります。
今回は、「乳歯の歯並び」に関する正しい知識と、必要な対応についてご紹介します。
結論からお伝えすると、乳歯の歯並びにも注意が必要です。
確かに乳歯は、いずれ永久歯に生え変わる歯です。
一般的には、6歳前後から12歳ごろにかけて順番に抜けていきます。
そのため、「どうせ抜けるなら問題ない」と思われがちですが、それは半分正しく、半分間違っています。
重要なのは、乳歯が生えている期間が、お口の土台を作る「成長の準備期間」だということです。
乳歯の歯並びや噛み合わせは、永久歯が正しく生えるための「道しるべ」です。
この道しるべがズレていると、後から生えてくる永久歯が「正しい位置に生えられない」ことがあります。
乳歯の歯並びが乱れていることで起こり得る問題は、意外に多く、どれもが深刻です。
以下に代表的なものを挙げます。
1.永久歯が曲がって生えてくる
乳歯が傾いていたり重なっていたりすると、永久歯がその隙間にうまく生えられず、斜めになったり重なってしまったりします。
これはいわゆる「不正咬合(ふせいこうごう)」と呼ばれる状態で、将来的に矯正治療が必要になる可能性が高くなります。
2.顎の発育に影響が出る
噛み合わせが悪いと、食事の際に顎が均等に使われません。
その結果、顎の成長がアンバランスになり、顔の左右差が出る、顎が小さくなってしまう、などの影響が出ることがあります。
3.発音や呼吸に影響が出る
歯並びや噛み合わせが乱れていると、舌の動きや口の開け閉めに影響を及ぼすことがあります。
結果として、発音が不明瞭になったり、口呼吸が習慣化したりする可能性があります。
4.むし歯や歯肉炎のリスクが高くなる
歯が重なっていたりすると、歯ブラシが届きにくくなり、汚れが溜まりやすくなります。
その結果、乳歯むし歯や歯肉炎のリスクが高くなります。
乳歯のむし歯が悪化すると、永久歯の質にも影響する可能性があるため、軽視はできません。
「じゃあ、歯並びが悪いと思ったらすぐ矯正?」と不安になられる親御さんがいらっしゃるかもしれません。
こちらも結論から言うと、必ずしも必要というわけではありません。
お子さんの発育や口腔の状態に応じた、適切なタイミングと方法での対応が大切です。
1.定期的な歯科検診を受けましょう
歯並びの変化は少しずつ進行するため、早期発見がカギになります。
乳歯の時期こそ、定期的な検診を受けることで「問題の芽」を見逃さずに済みます。
特に、歯並びだけでなく、「噛み癖」や「舌の使い方」「口呼吸」なども確認してもらうことが大切です。
2.生活習慣の見直し
指しゃぶりや爪噛み、頬杖などの癖が歯並びに影響することもあります。
お子さんの普段の様子をよく観察し、必要に応じて改善していきましょう。
3.小児矯正を検討する
乳歯の時期から行う矯正は、顎の成長を促すことで永久歯が正しい位置に生えるよう導く治療です。
大がかりなワイヤーを使わず、取り外し可能な装置を使うことも多く、痛みやストレスも比較的少ない方法です。
勿論、すべてのお子さんに矯正が必要なわけではありませんが、将来的な矯正治療の必要性を減らす、または軽くする効果が期待できます。
乳歯は確かに「いずれ抜ける歯」です。
しかし、だからといって無関心でいい歯ではありません。
むしろ、乳歯の時期こそが、永久歯やお口全体の健康の「基礎工事」となる大切な時間です。
「ちょっと気になるかも」と思ったら、ぜひ一度、歯科医院でご相談ください。
早めの対応が、お子さんの将来にとって大きな違いを生み出します。
お子さんの健やかな成長と笑顔のために、乳歯の時期から、大切なお口のケアを一緒に考えていきましょう。
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